緩和ケアと観相学と耳(1)@頂光
以前ある会でこんな話をしました。
「あそこは病院・ここは緩和ケア」といい移転してきた70代男性の話。
当緩和ケアで6年前、奥さんにお会いし今回は旦那さん。
「ここにはいい思い出がある。妻の時にもいい思い出がある」と多くお話をした男性の話です。
干支一回りいると地方病院ですから、家族を、ご夫婦を、この場でお会いする機会も増えてきています。
長く同じ所にいる由縁ですね。
緩和ケアと顔。
観相学と耳。
あの日は続けてそんな事が気になる日でした。
緩和ケアで同日出逢った二人の男性。の一人の話。
「仕事が忙しく夜だったけど毎日来ていた。
あのテレビの収録の時のモデル。妻なんだよ。ここでのいい思い出だ」と。
私も雑誌の取材で病室で足のモデルをお願いした女性がいます。
そのとき同席した娘さんがいました。
同じように「いい思い出」と思ってくれているといいな。
と話を聞いていました。
その時を含め3度お会いした男性の話です。
2度目。
部屋に行くとトイレ中。
そのため部屋を出てドアの前で待っていると主治医が、
「楽しみに待たれているぞ。なぜ部屋に入らない」そんなやり取り後、
部屋に入り話をしていると
「ゆっくりしたいんだ」との事から、
おススメの落語CDを一緒に聞き終始笑と共にある時間を過ごします。
帰り際、握手をすると、
「手の力ありますね」
「でも体重がすごく痩せた」
~もう片手も二人握手をし~
「足も温かく手も力しっかりありますね」
「病には勝てない。でも寿命は延ばせる。そう思って頑張る」
「そうですね。頑張って」
~うん。うん。と大きく頭を振り~
「また会いましょう」
「会う。待ってる。そしてアロマの香り名前、覚えておく」
そんなやり取りがありました。
顔の話をしたいのですが私はアロマセラピストでもありまして。
ここでお会いした医療者でガン患者の30代女性が私にある体験を通し
香りに関して「香りは記憶と共にあるからこそ癒しになる」と教えてくれました。
その癒しの意味を思いおこし男性と握手をしていました。
3度目にお会いした時は身体も随分辛くしゃべれない。
食事は食べられない。
体勢もうずくまるようにし動けず自分では体勢は変えられない。
そんな状態です。
でも自分の意思で言葉で施術を行う事を希望されます。
身体は辛いので言葉はなかなか出ないのですがね。
この時の男性の耳は観相学でいう血が死んでる状態でした。
施術が終わった事を伝えると
頭で「うん」と傾けて「ありがとう」
嬉しそうに口を緩め「うんうん」と更に頭を傾けます。
「また来ますね」と言うと緩めた口を閉じて、しばらく時間がたち、
「ありがとう」が最後話した会話でした。
身体の実感を通じて「今生きている」と自分で反復する姿であられた。
と思っています。
気表(けほ)とは顔の語源の言葉。
観相学の見方で見ると違うものが見える。
気持ちの表れ。
耳に見る今の状態。
医療者ではない一般人だから。
違う立場だから見えるもの。
顔のドラマや顔の話。
緩和のノートから見える命・命の表現。
案外家族も知らない小さなドラマがある事。
書いて残しておこうと思っています。